筋湯温泉「小松別荘」と佐伯市本庄のほたるの里でホタル観賞&写真撮影会(前編)

水曜日は有給休暇を取得した。彼女がたまたま平日に休みが取れたので、僕がそれに合わせて有給を取った感じだ。

「せっかくの平日休みだし、旅館でも行っちゃう?」

という話から今回の計画が発端した。二人で旅館に泊まることは直近の僕らの小さな夢でもあった。

 

「行っちゃう?」

「行っちゃおうか?」

「平日のほうがたぶん安いし」

「お客さんもきっと少ないし」

 

一泊旅館旅行に出掛ける肯定理由なら、いくらでも出てくる。

僕らはあっと言う間にデレた。気持ちはすでに旅先だ。

 

そうと決まればと二人でスマホを開いて宿泊先を探した。条件は以下な感じ。

  • 予算は2人で2~3万円以内
  • 仕事が終わってから出発したら夕食には間に合わないので、なしでもOKなところ
  • 朝食付きのところ
  • チェックインが遅くてもOKなところ

いくつか候補はあがったが、そのなかから筋湯温泉「小松別荘」に決定した。

1泊朝食付きで2人で15000円。
貸切風呂が4つあって24時間入浴OK。
チェックINは21:00までOK。

良心的なお値段で、古風な趣ある温泉旅館だ。楽天トラベルで予約して、チェックインが遅くなるとメッセージを入力すると丁寧に返信もくれた。対応もありがたい。

 

当日は夕食にありつけないので、お弁当を買っていくことにした。大分駅でちょっとお高い豊後牛のお弁当を購入した。

お酒やつまみは、前日に彼女が大量に買い込んでいる。ビール、冷酒、日本酒、果実酒、サワーと種類もよりどりみどり。

荷物の重さの8割はきっとお酒だ! 一晩でどれだけベロベロに酔っ払うつもりなんだ(笑、

と思わずつっこみたくなるが、それだけ楽しみにしてくれてるんだなぁって思う。

 

お酒もたくさん積み込んで、仕事帰りにちょっとバタバタしたながらもいざ出発!

大分から九重まで高速道路を使用し、そこからは下道。途中、鹿に出くわしたりしながらも、21:00ぎりぎりに小松別荘に到着した。けっこう遅くなったにも関わらず、若女将さんが出迎えてくれ、車を誘導してくれた。

小松別荘のホームページを見ると、若女将さんがブログを書いていて、若旦那さんが料理を作っていることを知ることができる。二人がどういう関係なのか僕らが知るところではないが、二人とも美男美女であったとここに書き記しておこう。

 

敷地内へ続く暖簾がかかった門戸をくぐり、短い庭園を抜けて旅館内への引き戸をカラカラと引いた。玄関のすぐ正面がフロントになっている。靴を脱ぎ、チェックインのため名前だけを書くと、引き続き若女将さんが部屋まで案内してくれた。

お風呂や朝食など簡単な説明だけ受けると、あとは二人の時間だ。仕事や旅の疲れも、高揚がすべてを上書きしていく。

とりあえず浴衣に着替えた。浴衣はややクリーム色がかった白地で、葉柄の模様が入っている。その上に茶色の羽織をまとい「どう?」といった感じでやや腰と肘を曲げて微笑む彼女の姿を見ると、ああ旅館って素晴らしいなと僕は心の底から思った。

 

まずは買ってきた弁当を食べて腹ごしらえをした。夕食が食べれない分、ちょっと良い弁当を買っててよかったなと思う。気分だけでも味わうことができるし、弁当とはいえ美味しかった。

食べ終わると散歩に出かけた。筋湯温泉の由来はうたせ大浴場にあるらしいので、その大浴場を目にしておこうというわけだ。

「筋湯」という名の由来は、白壁造りでどっしりと建てられた共同浴場「うたせ大浴場」の湯にあります。2mの高さから湯が落ちる「日本一のうたせ湯」の異名を遂げ“筋肉をほぐす湯”として、肩こりなどの筋の凝りなど「筋の病に効く」ということから「筋湯」と呼ばれるようになりました。

引用:筋湯温泉の紹介

 

街灯も少ない暗い道を歩いた。しかし温泉街ではあるので、湯気が立ち上っていたり、旅館のぼんやりした明かりが灯っていたり雰囲気は良い。

ただ、少し怖くもある。彼女はその”見える”タイプの人間なので、彼女が突然後ろを振り返ったりするとそこに何かいるのではないかと震え上がる。心臓が弱いかたは夜の散歩は気をつけよう!

小松別荘からうたせ大浴場までは約800m。僕らは手を繋いでのんびり散歩した。気候もちょうどよかった。

到着が遅かったのでうたせ大浴場には入浴できなかったけど、付近にある足湯に浸かることはできた。無料で使用することができる。

温かくて、足をつけているだけだけど体まで温まってくる。「しっかり温泉で、すべすべだね」と彼女はいった。足をぱしゃぱしゃしながら、昔のことや、これからのことについて少し語った。カップルで来られるかたは、夜の足湯デートをおすすめしておこう。

 

部屋に戻ると瓶ビールを一本空けた。そういえば部屋に栓抜きがなかったのでフロントで聞いてみると若旦那が快く貸してくれた。

お互いにお酌しあい、テレビを見ながらビールを飲んだ。つまみは柿ピーやさきいかを食べた。つまみの選定まで余念がないところが彼女らしい。

 

瓶ビールを1本飲み干したところでお風呂に入ることにした。家族風呂は4箇所。岩風呂が2箇所で石風呂が2箇所なんだけど、石風呂がひとつ埋まっていたので僕らは岩風呂に入ることにした。

家族風呂に向かうには、一度外履きに履き替え、庭園を横切っていく。途中に囲炉裏があってそこが喫煙所になっていた。僕は絶賛禁煙中なんだけど、風呂上がりにそこで煙草をふかしたら旨いだろうなぁと思った。

 

温泉は熱くもなくぬるくもなく、ちょうどよかった。長く入れる感じだ。旅館に泊まっていると、家族風呂の制限時間がないところがいいなと思う。日帰り温泉だとだいたい60分制限だけど、僕らはいつも60分では足りなくてバタバタしている。ここ小松別荘ではゆっくり1時間半くらい温泉に浸からせてもらった。

風呂から上がって再びお酒を飲んだ。今度は果実酒やサワーを空けた。そして空けたお酒はそこまでだった。前日に、

「楽しみにし過ぎて当日早く寝ちゃうやつだこれ」

なんて二人で話してたけど、その予感は見事に的中した。僕らはあっさり眠りこけていた。

次の日になってもうちょっと遅くまで起きてればよかったなーなんて思ったりもしたけど「名残惜しいくらいがちょうどいいよ」と彼女は言った。

 

朝は8時から朝食だった。夕食にありつけなかったぶん朝食は楽しみで、その楽しみを十分に満たしてくれるものだった。

小分けされたおかずは一品一品おしゃれで、見るだけで美味しい。味噌汁とご飯はおかわりOKだ。僕も彼女もおかわりした。食後にはコーヒーも飲める。夜は見ることができなかった緑ある庭園を眺めての朝食は、気持ちのいい朝を演出してくれる。

朝食を食べたあとは、前日に入浴しなかった石風呂のほうで朝風呂を堪能した。チェックアウトは10時だが、僕らが部屋を出たのは09:50分頃だった。小松別荘を時間いっぱいまで楽しませてもらった。帰りも若女将さんがお見送りをしてくれた。素敵な時間をありがとうございました。