一緒に踏むと幸せになれる宇佐神宮の夫婦石。塩パンが美味しいダルマベーカリーと天ヶ瀬温泉家族風呂「山荘天水」

日曜日は雨だった。

雨というのはどうもカメラマンである彼女のテンションを下げるらしい。「日曜日は雨かぁ」とか言いながら、時間を空けては何度も天気予報を見返している姿を見るとどれだけ残念か伝わってくる。

もし僕が天気の子なら「いまから晴れるよ」って言って天気にしてあげるんだけど、もちろんそんな力はないし、天気予報も簡単には変わらない。

 

「逆に雨の日に映える景色とかってないの?」

僕が聞いてみると「イルミネーション!」と答えが返ってきた。

「みずたまりにイルミネーションの光が反射して綺麗なんだよ」

なるほどなぁと思う。だけど季節は春でイルミネーションって時期でもないし、なにより出掛けるのは昼間だ。イルミネーション撮影は、また雪の季節に取っておこう。

 

結局、当日までいく場所は決まらなかった。

ドライブ雑誌を見ながら「ここはどう?」と僕もいくつか提案してみたが、自分が興味ないものはチラ見するだけで返事もしない。結局、

「宇佐神宮にいってみよっか」

という鶴の一声で行き先が決定した。

 

特に急いでもないので別府をスタートして10号線をのんびり走る。ちなみに宇佐神宮は10号線沿いにあるので本当に一本道で到着する。ロロノア・ゾロなみの方向音痴であっても行くのは簡単だ。

1時間もせずに到着したが、まずは軽く腹ごしらえをすることにした。ご当地グルメを楽しむのは、旅の楽しみでもある。彼女が2件のパン屋さんをリストアップしてくれ、僕が選んだ。

選んだのはダルマベーカリー。

同じ宇佐市内であるが、宇佐神宮からは15分くらいかかった。あるいは地元民でない僕らがカーナビに遊ばれているだけかもしれないけど。

海沿いの民家が立ち並ぶ場所に店はあった。ナビで設定していかないと絶対にわからないような場所だ。駐車場もあるかどうかよくわからなかったので適当に路駐した。車を降りてお店に向かうと、入口のドアに「入店は一組ずつお願いします」と張り紙がしてある。

 

ドア越しに中を覗くと、中にお客さんの姿が見えた。僕らは店の小さな軒先で待つことにしたが、今日は雨だ。畳半分くらいのスペースしかない軒先では雨を凌ぎきれないし、風も吹いてるし寒い。

「早く出てきて~」とか思うのは建前で、ふむ、こうして身を寄せ合っているのも悪くない。

しばらくすると店内から家族と思われる女性と子供が二人出てきた。へぇ、こじんまりしてるわりに子供にも人気のパン屋さんなんだなぁとか思いながら入れ替わり店内へ。

店内は本当に狭いというか、大人二、三人が立てるスペースしかなかった。すぐ目の前のガラスのショーケースの中にパンが並んでいる。塩パンが美味しいとGoogle先生が教えてくれていたので、とりあえず塩パンを注文し、あとはあんバターや黒ごまパンなどを注文した。

タピオカドリンクもやっているらしく注文しようとしたが残念ながら売り切れてしまっているらしい。僕らが来店したのは12時過ぎ頃だったと思うけど、人気なんだなぁと思う。

 

塩パンは本当に美味しかった。言葉では上手く説明できないけど、塩加減が絶妙でモチモチしている。パンの風味が強くて香りもいい。揚げたてだったらもっと美味しかったろうなって思ったけど、宇佐に来たらまた寄りたいなと思える味だった。

ちなみに全然関係ないんだけど、大分市内で僕のお気に入りのパンはブレッドステーションの明太子フランスと、シェルブールのカレーパン。共感してくれる人はきっと共感してくれるはず。食べたことない人は是非一度食べてみて。まぁじで旨いから。

腹ごしらえも終えて、再び宇佐神宮に向かった。雨のせいもあってかお客さんは少ない。傘が1本しかなかったから途中100均でもう1本傘を買ったんだけどやたらと小さかった。彼女はカメラも持ってるし、僕のと替えるよと言ったんだけど「いい」と言って小さな傘を差して歩き始める。

ガラリとした境内は寂しくもあるけど、おかげで人目を気にすることなく写真を撮ることもできる。人がいない宇佐神宮もきっとまれだと思う。

手水舎(てみずしゃ)にて柄杓を使い、右手、左手、そして口をすすぎ、清めてからさらに奥境内へ。

向かった先は夫婦石。僕は知らなかったんだけど、石畳の上に左右対称の石があって、カップルで片方ずつの石に乗ると、二人は長続きするんだとか。宇佐神宮のパワースポット的なものらしい。僕らもほら、こうして一緒に来てるわけだし、それは乗っておきましょうよ。

という軽い言い方とは違い、僕は必死になって夫婦石を探していた。どこにあるかわからないから、慎重に石畳を眺めていく。なかなか見つからず最終的にはGoogle先生の力をも発動する。手段など選んでいる場合ではない。そうして無事見つけることができた夫婦石がこちら。

見つけたときは落ち葉がけっこう落ちてたんだけど、彼女が拾ってきれいにした。そのあとに二人で乗って、写真も撮ったんだけど、ブログに掲載するのはちょっと恥ずかしいから、それは二人の思い出の中にとどめておくことにしよう。ちなみに独身のかたも一人で乗ると良縁が舞い込むとされているらしいので、興味があるかたは是非いってみよう。

 

さらに奥へと進み、向拝所でお賽銭を投げ込こんで参拝した。彼女はやたらと長く目を閉じて両手を合わせていた。「欲張りだなぁ」と言ってみると「願ったのはひとつだけだよ」と答えが返ってきた。

数人いるお巫女さんは暇そうにしていた。ちなみにおみくじは引かない。結果に気持ちを左右されるのが嫌いらしい。正月でもないし、まいっかと思って宇佐神宮をあとにした。

まだ帰るには早かったので、どこに行こうか話し合った結果、温泉でも入って帰ろうということになった。温泉にいくといつもは別々に入るんだけど、たまには一緒に入ろうよという僕の提案に彼女はしぶしぶながらも了解してくれ、家族風呂を探すことになった。二人でスマホを取り出して検索タイムが始まる。

その結果、行き先は日田市にある天ヶ瀬温泉「山荘天水」に決定した。せっかく県北に来たんだから県北の温泉に入ろうよということで選んだが、あとで調べてみると日田市は北部ではなく西部だということがわかった。僕らは二人とも大分県に住みながら、大分県の地理がわかっていない。

宇佐市からは約1時間。途中、院内の道の駅に寄ったりしながら国道387号線ひた走り、日田市へと向かった。

山荘天水は本当に写真で見るのと変わらない風情ある温泉だった。向かう道中から枝垂れ柳とでも言えばいいのか、道の両脇に立つ青々とした木々が枝を垂らしている。途中何か所か枝が車に当たってしまうような場所もあって「洗車みたいだね」と彼女は言ったが、いやもっと風情を重んじろ。

車を駐車して、美しく手入れされたと思われる中庭を抜けてフロントへと向かった。

選べる家族湯は5つ。2つは埋まっているらしく、僕らは3つの中から選び、かま湯を選択した。家族湯へは外を歩いていかないといけないんだけど、店員さんが傘を持って玄関まで見送ってくれたり、景観から対応まで日本が誇るおもてなしを感じることができる旅館だった。

時間たっぷり、湯船に浸かったり上がったりしながら、温泉の温かさと風情や雰囲気を楽しんだ。『最高』とはまさにこのことで、実際に何度かその言葉を口にした。

辞める辞めると言いながらいまだに辞めれていないタバコを、風呂上がりの熱気と、ひんやりとした雨の空気を感じながらふかすのも、やっぱり格別だったなぁ。

 

P.S
※前日は別府市にある「うさぎととら2号店」でサムギョプサルを頂きました。一人3500円で食べ飲み放題。ここもとても美味しかったです。