今回は佐賀県の環境芸術の森にいってきました。言い出しっぺは彼女である。どこで探してきたのかinstagramの写真を見せてきて、
「ここ行きたい」
と言った。彼女の行きたい場所は僕の行きたい場所であり、宇宙は常にひとつである(何言ってんだこいつ)。
お恥ずかしながら僕は環境芸術の森という場所を初めて知った。写真を見て綺麗なところだなぁとは思ったけど、あまり有名でないと思っていた。
ひっそりとした森の中、まばらな人の中を二人で自然の空気を感じながら、ゆっくりと散策できるような場所だと思っていた。
料理で例えるならメインディッシュではなく前菜やデザートのような・・・。
しかし現実は違った。
大分から佐賀までは高速道路を使っても3時間はかかる。彼女が作る味噌汁と目玉焼きの美味しい朝ごはんを堪能してから出発した。
ハンドルを握るのは彼女だ。僕は終始助手席でうつらうつらしていた。これがもう最高なのである。夢と現実の間というのはなぜこんなにも夢見ごこちで幸せなのだろうと思う。途中、山田サービスエリアに寄って買い食いしたりしたけど、3時間のドライブもあっというまだった。運転おつかれさまです。
高速道路を降りて環境芸術の森へ向かう。
『環境芸術の森まであと5キロ』
というような看板も目につくようになってきた。しかしそこでひとつの疑問が浮かんだ。
『渋滞。2時間待ち』という張り紙がしてあるのだ。電光掲示板のようなものではなく、張り紙である。しかも随分前に貼ったことがわかる程度には色落ちしていた。
「渋滞してるのかな?」
「張り紙だし、ゴールデンウィークとかに貼ったやつをそのままにしてるんじゃないの?」
僕は安直に考えた。僕にとって環境芸術の森はこのときまだ静かな森である。しかし数キロ進んだ先で、張り紙は事実を指し示していることを知る。
『渋滞だ』
道が曲がっているのでそこまで遠くまでは見渡せないが、見える範囲で渋滞していた。Uターンして引き返している車も多く見られた。
このときまだ環境芸術の森へは3キロほどあった。2時間待ちは嘘ではない。そして環境芸術の森は、超人気スポットであった。
彼女の車に積んであった『ナイトミュージアム』の映画をきっちり見終わった。面白い映画だった。終わってもなお、駐車場には辿り着かなかった。
駐車場は奥にひとつかふたつ、手前にひとつある。手前の駐車場はすでに通り過ぎていた。けっこう歩くことにはなるが、渋滞を早く終わらせたいなら手前の駐車場に駐めることをおすすめする。

ようやく車を降りて環境芸術の森に辿り着いたのは午後3時だった。そして環境芸術の森は午後4時までの営業である。車の列はまだまだ連なっていた。果たして並んでいるすべてのお客様を迎えいれることができるのが疑問であるが、そんな心配をよそに僕らは入園する。入園料は大人一人700円だ。券売機で購入した。
中に入ると、Instagramで見た屋敷の中に向かって人の列が連なっていた。とりあえずトイレを済ませて僕らもその列に並んだ。こちらは車の渋滞とは違い、わりとスムーズに進んだ。
靴を脱いで、屋敷の中に上がる。いざ写真の場所へ。
写真をなんとなく見て、僕は水が反射してるのかなって思っていたけど、違った。写真の下側に反射しているのは光沢のあるテーブルである。
テーブルにカメラをつけたような状態でシャッターを切ると、写真のようになる。素人の僕でさえ、わりときれいな写真が撮れた。
自分でうまく撮れないかたは、係のお姉さんが撮ってくれるようだった。実際に撮ってもらっている人もいた。綺麗な写真を撮りたいのであれば、慣れている人に任せるのも良いと思う。


ほとんどの人がスマホのカメラで撮影していた。そんななか本格的な一眼レフカメラを携えている人が現れた。スマホとは違い重厚な一眼レフをテーブルに配置する。
低い位置にあるレンズを覗き込み、ベストな写角を探すようにカメラの位置を微調整している。シャッターを切っては手元を確認し、また微調整してもう一枚。
写真を一、二枚撮って立ち上がり、次のお客さんがシャッターポジションに座り込むという人の流れのなか、その人だけはそんなまわりの様子など気にする素振りもなく、時間をかけて良い写真を撮ることに集中していた。
そう僕の彼女である。
やがて彼女は立ち上がった。いい写真が撮れたか聞くと頷いた。僕も写真を撮れたか聞いてきたので、うん言った。
環境芸術の森はその名の通り森になっていた。あたりを散策できる。屋敷を出た僕らは15分コースと書かれている看板に沿って散策した。もっと長く歩ける場所もあるようだった。
ちょうど紅葉時期で綺麗だった。落ちた葉が湖に浮かんでいて秋の風情と物哀しさを感じた。空気は澄んでいて綺麗だった。散歩コースには絶好だ。
シャッターを切りながら二人で歩いた。人気の秘密も頷ける綺麗な森だ。











最後に出店に寄って環境芸術の森をあとにした。ワンパック100円の芋けんぴを彼女は5パック購入していた。彼女が食いしん坊であることは間違いないが、家で待つ子供達へのお土産でることを彼女の名誉のために書いておこう。芋けんぴは美味しかった。しし汁などもあるようだったけどすでに売り切れていた。美味しそうだ。
次には佐賀県は呼子町へ向かった。こちらは僕のかねてからの希望で呼子のイカを食べてみたかった。呼子町はイカで有名な町だ。
スマホで調べて河太郎というお店に行くことにした。環境芸術の森がある唐津からは一時間かからないくらいだった。
いか活造り定食が一人前2900円と庶民である僕らにはやや高めの値段ではあるが、せっかくここまで来たので二人前注文した。そして十分に堪能できるものだった。

いか活造り、いか天ぷら、いかしゅうまい、お吸い物、お味噌汁、お漬物、ごはん、デザートという定食になっている。最初に前菜としてお吸い物が出てきて、次にいかの姿造りが出てきた。
イカは新鮮なときが切り身が透明で美味しい。どこがどの部分なのかよくわからなかったけど、活きが良くコリコリしている部分と柔らかい部分があって、どちらも美味しかった。
足の部分を箸でつつくと、イカの足が動いた。「うわぁ」と彼女が気持ち悪そうに喜んだ。
刺し身をある程度頂くと、店員が来て「そろそろ天ぷらをしましょうか?」と言ってくれる。イカの足の部分や残りの半身を天ぷらにしてくれる。これから揚げてくれるので、揚げたてを楽しむことができる。

天ぷらは塩と天つゆ、好きなほうで食べることができる。アツアツでホクホクしていて美味しかった。(語彙力)
彼女は何度も美味しいと言っていた。本当に満足しているようだったので、本当に美味しかったのだと思う。
食べ終わると辺りはすっかり暗くなっていた。ここから地元大分県まで3時間の帰路が残っている。12月はハウステンボスに行く予定だ。これまた楽しい旅になりそうだなぁ。
(おまけ。画像は呼子大橋)